げんべい商店との出会い

あれは30年ほど前の夏の日の夕方。私は葉山(神奈川県)の海岸沿いの道を運転していました。ようやく涼しくなり、開け放ったサンルーフから入る海風が実に心地いい……と、
突然、古い店が目に飛び込んできました。
軒先には浮き輪がぶら下がっており、当時でも珍しくなった懐かしい昭和の風情がぷんぷんです。
いったん通り過ぎたものの、どうしても気になり、狭い道をバックで戻ってみました。
店内に入ると、おびただしい数のビーチサンダルが重ねられています。
「えっ、ここビーチサンダルの専門店?」
ただのなつかしい雑貨店かと思っていたので、すっかり面食らってしまいました……
これが、げんべい商店のビーチサンダルとの出会いでした。

「ブログに、あのビーチサンダルを登場させるから書いてよ」

何十年も履いているから詳しいでしょ」と、妻からお呼びがかかりました。ども、再び登場の夫です。
30年前、せっかく来たのだからと思い、軽い気持ちで購入したビーチサンダル。
あまりのは履き心地のよさに、以降、夏になくてはならないアイテムになりました。
夏中履いて擦り切れたら葉山まで買いに行く、を繰り返していましたが、
海に行くこともほとんどなくなり、げんべいを買う頻度もすっかり減ってきていました。

そして3年ほど前に、久しぶりに買おうと葉山に行ってびっくり! 
店がすっかり新しくなり、ホームページまで開設されていました。
そして今年。初めてインターネット通販を利用しました。

カタログを見て、またびっくり! 「5代目モデル」という名の新型が発売になっていました。
履いた感触が柔らかく、ソールは小指まで守る形状になっています。まさか進化していたとは! 迷った挙句、私は昔ながらのブルーダイア、妻は5代目モデルを購入。
価格は共に1,155円(税込)。この安さにも驚かされます。

妻が購入した「5代目モデル」。今年登場した素材や形状など全面的に見直された17年ぶりの新型。
サイズは違いますが、5代目モデル(左)とブルーダイア(右)の比較。ソールの小指部分や中央のくびれラインの違いがおわかりでしょうか。
5代目モデルの鼻緒部分。
取り付け位置・高さ・角度を見直され、フィット感がさらに向上しているそうです。

さっそく九十九里の浜で履きましたが、妻が「このサンダル、足が全然痛くならない。今まで買ったものは鼻緒のところが必ず痛くなっていたのに」と驚いていました。
「そうだろ、そうだろ」とうなずいていましたが、よく考えたら妻のは5代目モデル。

何十年も愛用している私を差し置いて、妻は私が知らない未知の履き心地を味わっていたのです。くそー!

偶然見つけたアイテムが本当に良い商品で、それを長く愛用しているうちに手放せなくなる。
げんべい商店のビーチサンダルも、そんな傑作品です。