あの会見は少し泣きそうになりました。

ご自身の信念に基づき全身全霊をかけて総理の職を努めてきた、というまっすぐな気持ちが伝わってきました。任期が1年以上残っているにもかかわらず、また持病の悪化でやめなければならないことの無念さ、情けなさ。しかし、この辞任は、考え抜いた末の決断であるということもよくわかります。

安倍総理の経済政策、外交、憲法改正のことなど、概ね支持していたので、単純に「今後それらはどうなるんだろう」という不安もありますが、それよりなにより、潰瘍性大腸炎の悪化が辞任の理由だということで、身につまされてしまいました。

私も潰瘍性大腸炎と診断されたものの一人だからです。

私は24歳で発症し、決めていた留学を諦めました。
私のような一庶民がたかだか1年程度の留学をやめるのと、志半ばで総理の職を辞するのとではまったく事の重みが違うとは思いますが、自分の当時の気持ちや身体のつらさを思い出し、勝手に感情移入してしまいました。

潰瘍性大腸炎は完治することがない病気と言われています。
良くなったり悪くなったりを繰り返す、一生ものの病気だと医者にも説明されました。
「この病気でも、いいときには子供も産めるから」というようなことを言われ、逆に「えっ、そんなに大変な病気なの?」とショックを受けたことを思い出します。
根本原因は不明ですが、疲れやストレスが引き金になることが多いようです。自分の場合も確かに思い当たります。
私は幸いにも、その後重い症状は出たことがなく、ここ10年以上は無症状です。
しかし、精神的負荷がかかることがあると「再発するんじゃないかな」と、不安になったりすることもあります。

世間の片隅でひっそり暮らす私でも、仕事が忙しかったり強いストレスにさらされたりして再発(専門用語としては 再燃 というらしいですが)を恐れたりする中、一国の総理ともなれば、どれくらいの負荷がかかっていたか計り知れず、病気をコントロールすることにも相当の気遣いをされていたと思います。
それにもかかわらず再発してしまったことはとても残念ですが、それは仕方のないこと。
東日本大震災で底にあった日本を、ここまで引き上げてくれた(新たにコロナの問題は出てきましたが)安倍総理に敬意を表します。
少しは重荷を降ろされて、症状が良くなりますように。